-第一回-  -第一回補講-

経済ってなかなかわかりづらい。とはいえ、Zephyr発行人としては、少しは世の中のことを理解しておきたい・・・ そこで、経験豊富、知識無尽蔵のさだやんを講師にお招きし、日頃から気になっていた疑問について、お答えいただきます。(May 20, 2001) -第三回-、-第四回-、-第五回-、 -第六回-、 -第七回-


-ユーロ導入-
思いついたまま、脈絡のない質問ですが、よろしくお願いいたします。
Q:
来年1月からのユーロ実施に伴い、どのような混乱が予想されるでしょう?
手持ちの各国紙幣・貨幣は使えなくなるのでしょうか。
A: 2002.1.1より ユーロ移行第三段階(最終段階) が始まり、最低六ヶ月、最高 2003.6.30 まで という アロウアンスを 各国の事情を勘案して与えており、その間に移行を終わらす、ということです。
詳細はこちら:
http://www.minfin.fgov.be/fr_euro/euro002.html
(フランス語のみ)

これで大変なのは、特に 箪笥資金の多いラテン系の国。
フランスの例でいうと、1,500億フランスフラン(約3兆円)が、どっと市場に出てくるということですよね。
他方、公式には 一回の換金を 五万フランに制限していますから、さすれば、闇交換という商売が 一時的に華やかに展開されることになるでしょう。
(これは、何処が一番盛ん。。。。? スイスに決まっているでしょ)

-赤字国債-

Q: 日本の赤字国債、こんなに膨らんでしまって、諸外国が、もう日本は見込みなしと資金を引き上げたらどうなるのでしょう?
(国債を買うのは日本国内の人ばかりではないのですよね? この辺もよく分かっていません。)
A: 最大の顧客は米国ですよね。 でも、他方、日本も米国の対外債務の最大シェアを(数千億ドル規模)占めています。これを 自国資金不足を補填する、ということで引き上げたらどうなる。。。?  損害は米のほうが多いでしょう。
と、いうことで、これは純政治的理由から 起こり得ない。。。?

でも、あまり小泉政権が 改革断行を遅らたり、米国の景気後退が更に進むと、どうなるかわかりませんが。。

-日本の構造改革-

Q:日本の新聞には「構造改革」という言葉がやたらとでてきます。この「構造改革」は、一般に言われる「リストラ」で表現される「人減らし」なしには、行えないのでしょうか。実際に人が余っていて、人件費がかさむ為それを抑える意味で人員削減というのは分かりますが、世の中には人手が足りなくて困っている業種もありますから、余った人はそちらに回せば、全体として失業者も増えずにうまくまとまりそうですが。
A: 日本の政治家には、もはや誰一人として 本当の構造改革が何を意味するのか、分っている人はいなくなったようです。

結論からいうと、残念ながら、仰せの通りです。 痛みを伴わぬ改革など、ありえません。
特に、日本の場合は状況がひどいですから。
Q:「総論賛成、各論反対」の声が聞こえてきそうな話ですね。
それにしても、日本の状況はそれほど悪いのですか。
例えば、どのようなケースでしょうか。
A:構造改革の最たるものは、’首切りゴーン’こと 日産のCEO、ゴーン氏のケースがあります。

日産は17日、2年ぶりに3310億7500万円(前期は6843億6300万円の赤字)の黒字転換を発表しましたが、これには、10パーセント以上の強烈な部品コストカットと、二万人のレイオフの結果ですね。

NTTも最近又、十万人の整理の可能性を発表しているし、小泉政権が謳っている、金融・建設部門を中心とする緊急経済対策を実行すると、ただちに130万人が路頭に迷うといわれています。

10年前、米国は S&Lなる住宅ローン専門の消費者金融公庫の不良債権処理で、上記に匹敵する改革を断行し、3700もある関連企業の七分の一を解散するという荒治療を行なう一方でIT産業という 新しい雇用舞台を創設することで、奇跡の好景気を齎すことになった経緯もあります。
いはばこれがクリントン政権の最大の成果といえるでしょうが、さて、小泉氏にこの気迫があるでしょうか。又、あっても、党内の物凄い抵抗を 押し切れるでしょうか?
而して、国民に 改革を耐え凌ぐ忍耐力があるでしょうか? 然るべき対策なしに 改革だけを断行すると、それこそ “平成の米騒動”となりかねません。
なるほど・・・壁は厚そうですね。
いろいろ勉強になります。ありがとうございました。
なお、さらに補講をしていただきましたので、その模様はこちらで