つい先だっての日経新聞「我が家の常識・非常識」に「衛生管理こそ孫への愛情」と題して、大人の口の中や唾液内のばい菌が子供によくないので自分たちが使った箸やスプーンを赤ちゃんの口に入れないように気をつけるのが常識、という記事があった。
うーん、昔と常識が変わったのだそうだが、なんでも消毒しないと気がすまない最近の日本はちょっと問題ではないだろうか。かなり前のことだが「もやしっ子」という言葉がよく使われた。社会で揉まれながらたくましく育つのと逆に、親の庇護の下にずっといるから揉まれずにひ弱に育つ事を指したのだと思うが、最近のそれは無菌室に子供を入れているようなものではないだろうか。
この記事で気になったのはもう一つ、祖父が自分の箸でおかずを孫に食べさせようとするのは困ることだという考え方だ。仮に大人が使った箸は清潔ではないかも知れない、だが普通に孫と接することの大切さはもっと大きいはずだ。専門家の話を鵜呑みにして、それに従って子供を育てることは、マニュアルがなければ何もできないマニュアル世代にはぴったりなのかも知れないが、子育ては理屈ではない、日頃の自然な感情の交流がとても大切なのだと思う。蛇足だが、祖父のこの行動を「直箸」と書いてあったが、直箸というのは、取り箸に対して使われる表現ではないだろうか。
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