日本のいいとこ & 日本にもあったらいいな

旅に出ると、普段気づかなかったことも見えてきます。
いえいえ、いつもと同じ暮らしの中にも、ちょっと見方を変えれば、
また違った発見もあるでしょう・・・

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明日香に思う・冬の京都散策・トルコに旅して
T君の見たオランダ


裕一君に聞きました
裕一君は、3年ほど前に初めてオランダを訪れました。12月の暗くて寒い時期でしたが、それだけゆったりと流れる時間のなかで、行く先々、一つ一つ確かめるようにして「オランダ」を感じてもらえたようです。それ以来、裕一君にとって、オランダは特別な国になったのでした。
Bagumama
裕一君、先日は涼しげな瓶に入った日本酒を届けて下さってありがとうございました。
箱から出してみて、やはり日本の物って芸が細かいなあと感心しました。ガラス瓶の表、それも上の方だけ、あたかも霜でも降りたような、雪の結晶が張り付いたような加工がしてあって、いかにも涼しげな感じ。こういうセンスって、こっちの人にはないだろうなと思います。日本の人の感性、審美眼とてもいうのかな、味の方でも超一流だけど、造形的にもすごいですね。
裕一そうですね。器用なところや細やかな気配りは日本人の長所ですね。最近はあまりそういうのを見られなくて悲しいのですが・・・。
私がオランダにお邪魔してから3年近く経ってしまいました。月日が経つのは本当に早いですね。
でも、今でもアムスやナールデンやハーレム、ライデン、大堤防などなどはっきりと覚えています。森の中のパンケーキ屋さんとか。
オランダは本当にすてきな国だと思います。また行くつもりです。

以前、友人の家に(オランダの嫌いな)ドイツ人がホームステイで来ていたのですが、オランダについてもめにもめて大げんかしたことがあります。私にとってかなり想い出深いというか・・・親蘭派とでもいうのでしょうか。
Bagumamaドイツ人とオランダ人は日本と韓国みたいなものだから。どんな点でもめたんですか?
裕一 内容は全然たいしたことはありません。子供の喧嘩じみていて・・・恥ずかしいのですが。
ちょうど日本でワールドカップがあった時にサッカーの話題から口論に発展してしまって。そのドイツ人はサッカーが大好きで、以前オランダのチームとドイツのチームの試合を見ていたら、選手同士で小競り合いになったそうなんですね。その中でオランダ人が暴言を吐いただの、態度が悪いだのというのがあったそうです。それをすごく根に持っている人で「オランダ人は失礼だ!」って始まったんです。私は「オランダ人ってひとくくりにしないで、喧嘩した選手は悪かったかもしれないけど、オランダにだっていい人と悪い人がいる訳だからさ。」と言ったのですが聞く耳をもたず・・・・・・・という話です。
Bagumama: そうでしたか。ところで、あなたにとって、どんなところがオランダの魅力なんでしょうか?
裕一::良いところと悪いところがあると思いますが・・・

何に対しても正直というか、表裏がないというか。気持ちの良いイメージです。
日本で言う下町のような雰囲気があるのではないでしょうか。
そういうところが好きです。
Bagumama: そうねえ、確かに建て前と本音の世界ではないですね。常に本音に近いかな。けっこう建前だらけなのかも知れないけれど。それはプロテスタントの国という大前提があって(実際はカトリックと半々だそうです)、なおかつ、長い間移民を受け入れてきた「寛容」という代名詞が彼らを呪縛しているという点はある意味じゃ建前と呼べるのかも知れません。
裕一:なるほど!日本と違い、宗教が生活に密着しているんですよね。(私は日本の"八百万の神々"の考え方が好きなので、何でもありに近いところがあるんですが・・・ただ謙虚な気持は忘れないように気をつけています。)

オランダというよりヨーロッパ全体に言えることかもしれませんが、一番は文化(建築など)を大事にしているところだと思います。日本では「文化財」となればその建物やその一帯は大切にしますが、その外にでると和洋中折衷のなんでもありのごちゃまぜですよね。例えばライデンとかナールデンでは街全体が「文化財」となるような、住人たちもそれにすごく気を遣っているような気がしたので、すばらしいなと思います。(ナールデンで見たある家族の夕飯時の様子は絵本をみているようで、とてもすてきでした。)
Bagumama: うーん、面白いですね。オランダの家は窓が大きい→外から見られることを計算済み→隠さないことイコール素顔というわけではない。夕食のテーブルはちゃんと外から見える位置にあります。見てもらうことも折り込み済み。なんて言うのは穿ち過ぎかな。その意味では形が大事。かっこよく見せたい、立ち姿にしてもしゃんと立つ。歩くときもゆったりと歩く、せこせこしない。こういった、どう見えるか、ということも大事なわけですよね。
日本の「文化」って型からはいるでしょう? 型って外から見たものでしょう? そういう入り方する事を常としていた国民が、どう見えたって自分がよけりゃそれでいいじゃん。と言ってしまうところがすごく不思議です。
裕一: そうでした。前にbagumamaさんから聞きましたが、オランダでは見られることはすべて計算済みのような部分があるんですよね。

型・・・茶道文化のような型(作法?)についてはいろいろな要因がありそうで分かりませんが、「どう見えたって自分がよければ・・・」という意識は無秩序の最たるものですね。私が子供のころには「周りの人があってこその自分」というようなことを曾祖母等からよく聞きましたが、今はまったく聞かないですし。形は帰属意識とか思い込み、イメージ程度で、本来そこにあった「品」はどこかへ飛んでいってしまったかのようです。

最近はこういった"昔なら当然考えたであろう事"がすっかり抜け落ちた人が結構いて、なんだか危ういなーと思うことがあります。
余談ですが、私の知合いに踊りの先生がいまして、「最近の中高生は身体能力がかなり落ちているよ、日本は大丈夫かー(笑)」という、まぁそのときは笑い話だったんですが、そんな話がありまして。日本人としてちょっと心配です。
Bagumama: 私もそれは大いに考えます。こっちの人も若年層の体力は落ちているかも知れないけれど、それでも、まだまだ鍛えていますからね。自転車通学の国だから。
ところで、オランダはこれから何をセールスポイントにしていったらよいかしら
裕一: 私が期待しているのは、環境の事です。
ただ、風車やソーラー発電などの具体的なモノではなく、オランダならではの「考え方・発想」が環境の事でも生かせるのではと思います。ワークシェアリングもそうですが、社会にとって本当に必要ならみんなでやりましょう、という風土は希有だと思います。
もちろんモノも大事ですが・・・(最近ドイツでは環境に影響のでない建築資材のみを使って建物を建てるのが標準になりつつあると聞きましたが・・・すごい事だと思います。)。

発想をお金に換えるのは技術が必要だと思いますが、今は環境の事が売りになる時代なのでいろいろとやってみる価値はあるかと思います。私の周りでも、例えば2つの商品の内、金額にそれほど差がなければ「環境に良い」とうたっている方を選ぶ人が増えています。

他には環境の事や就業の事など、日本ではとかく後回しだったり避けたりするようなことも結論を出して前に進んでいる点はすばらしいです。ワークシェアリングなど、日本ではできないと思います。オランダと日本の考え方の違いかもしれませんが、それを実践できるオランダは見習う点が多いと思います。

オランダについては、いずれにせよ外から見ている立場なので、無い物ねだりにすぎないのかもしれません。一回しか行っていないので、イメージ先行の気があるかも知れません。ただ国を人に見立てたとして、オランダのような性格の人がいたら、私は友達になりたいと思います。
bagumama:裕一君、いいお話をどうもありがとう。