日本のいいとこ & 日本にもあったらいいな

旅に出ると、普段気づかなかったことも見えてきます。
いえいえ、いつもと同じ暮らしの中にも、ちょっと見方を変えれば、
また違った発見もあるでしょう・・・

あなたの発見もお知らせ下さい

T君の見たオランダ
裕一君に聞きました


明日香に思う

寒い冬の一日、明日香を歩きました。昨年発掘された亀の石造物をまだ見ていなかったからです。それは酒船石のすぐ隣にありました。大変精巧に彫られたこの石造物は、上から水を落とすようになっていて、庭園の飾り物であったようです。すぐその裏山には、この秋オープンする万葉ミュージアムが建設中でした。そこから富本銭が出土してその建設に反対の声があがりました。何となく明日香村にはそぐわない建造物のように見えます。
  明日香は佐藤首相のとき特別立法が出来て、国で保全されるようになりました。そのせいで予算が潤沢なのか、周辺の整備が着々と進んでいます。石舞台、高松塚、甘橿丘、祝戸地区には立派な公園が出来ています。今から三、四十年前のこと、時々明日香に遊びに行きました。当時それらは雑草の生い茂る中にありました。甘橿丘には今では立派な遊歩道がついていますが、その頃はすぐ蜜柑畑に迷い込んだものです。春や秋の天気の好い日、親子連れが芝生の上で弁当を広げているのを見ると、微笑ましく公園もなかなかいいものだと思います。ここは意見の分かれるところです。開発と保存―難しい問題です。
  ヨーロッパで多くの史跡や遺跡を見ました。そこにあるのは遺跡だけです。偶に土産物屋があっても、パンフレットとジュースを売っているぐらいです。わが国の名所旧跡は大変です。レストランや土産物屋が軒を連ね、演歌がボリュームをあげています。
  どうもわが国の開発は、観光業者のものであり観光客のものではないようです。観光業者はただただ観光客を集めたいと思って色々企画します。それが流行歌の騒音になったり、金ぴかの土産になってしまいます。
  その昔、明日香の春はレンゲで埋まっていました。所々菜の花の黄色が横切り、若者や家族連れがレンタサイクリングを楽しんでいました。いま明日香に、レンゲも菜の花も見られません。明日香の棚田を彩る彼岸花は健在ですけれど。
  幸い、明日香にはレストランや土産物屋も殆どありません。観光業者も余り入っていないようです。しかし近代的な整備は着々と進んでいます。古いままがいいのか、整備した方がいいのか、なかなか難しい問題です。明日香は日本人の心の故郷、そして遺跡が世界で一番密度が高く残されている地域です。いつまでもわが明日香、日本の明日香、そして世界の明日香として大切に保存したいものです。
   
                           2001.3.15 (kim)  
冬の京都散策

  京都の冬は観光客がめっきり減ります。そこでいつも公開してない寺院や庭園を特別拝観させる所が出てきます。先週妙心寺を訪れました。春光院、退蔵院、東海庵の三つの塔頭を見学しました。東海庵は妙心寺の中でもことに位が高く、ここの住職が今妙心寺の管長を勤めています。
  東海庵に入り、その庭を観て驚きました。全く何も無いのです。竜安寺の石庭から石を取ったようなものです。ガイドの説明。「何も無いというのは物が入る余地が有るということです。無は有に通ず。無こそ禅の根本の精神です」
  そういえば、醍醐の三宝院のように、全国の大名から名石を集め、これでもかと飾りたてれば、もう何も入る余地は有りません。飽食日本、もう何も入りません。食べ残すだけです。「有は無に通ず」ということになってしまうのではないでしょうか。
                                2,001.2.15      (kim.)
トルコに旅して

  昨秋トルコに旅した。アンカラに行ったときのことである。偶々トルコ共和国建国の父アタチュルクの命日であった。アタチュルク霊廟は人で溢れていた。没後70年今でも大変な人気で、人々の崇拝を集めている。民主的、開明的な人であったようだ。人は死んでから価値がわかる。
  参詣する中で、小学生のグループが沢山混じっていた。トルコの小学生はまことに行儀が良く、衣服もきちんとして、先生の言うことを良く聞き整然と歩いていた。彼らは又大変に人懐っこい。言葉も分からないのに話し掛けてくる。サインをねだったりする。どの子も目が澄んで輝いていた。「私達の孫は駄目ね。全然。・・・・」一同嘆くことしきり。
  更に現地ガイドには感心させられた。トルコの歴史に大変誇りをもっている。愛国心も極めて旺盛。言葉の端々に表れる。そこには国粋主義者のような気負いは無い。
  GNP世界で17番目の国。教えられるところが多かった。
                                2001.2.15      ( T.H.)