海外に暮らして

人生のバトンタッチ by sawat dhii


季節の 移ろいの目安に乏しいバンコク暮らしの中、日本人の私にとって面白い風物詩がある。 日本からやってくる"卒業旅行"の若者達の姿である。
一時帰国の折に、傍若無人な振る舞いに映る、日本の若者達の違った表情を見る。
男子学生に多く見られる一人旅、見るからに"ビンボー旅行決行中!"という風でガイド・ブックを手に、あたりとの照合に、せわしげに目線を泳がしている。
仲良しグループは さすがに、ちょっとだけ余裕の空気を漂わす。

いずれにしても、彼らの手にケイタイはない。
つねづね、簡便さは評価するも、携帯電話で人の関係が築けるか?という反携帯派の
私としては、しめしめ・・・と思う。
「せっかくタイ迄やってきたんだから、不便な思いをしようね。自分の知恵を試す
いい機会じゃないの〜」
「キョロキョロしながら 世間を見ようね。人の優しさ、つれなさにも出会っていいんじゃない?」

彼らは、日本に戻って、卒業式を済ませ、社会へと出て行くことになるのでしょう。
決して 両手を広げて出迎えてくれそうにない、今の日本。
自分の度量が問われる試練に向かい、コミュニケーションの原点に立ち戻るのは意味のあることだと思います。

若者達の姿ばかりが、目に付くわけではありません。
中高年のカップル達も忘れてはいけません。
"戦中・戦後を生き、高度成長を支えて働いてきた暮らしをリタイアしました" という男性、そして奥さんとおぼしきカップルが、軽快な出で立ちで歩いています。
タイの空気に包まれると、自分達の幼い頃、若かりし頃の記憶を呼び起こす題材も多く
人生のエポックに うってつけの旅になることでしょう。
ゆったりと暮らす贅沢さを取り戻し、人生の先輩として、これから後人の良きお手本となって頂きたいものです。

街角で、4月からの新人くん達と 大先輩達が交差して行きます。
そんな姿を 微笑ましく眺めることの多い 3月のバンコクです。

sawat dhii


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