Kumiko’s EYE ‐6‐ 

Kumikoさんは6年半のオランダ暮らしの後、ご主人の転勤で日本に戻りました。
元の古巣に帰ったとはいえ、すっかりオランダ暮らしが板についてしまったKumikoさんの目に、日本はどんな国に写ったのでしょう

Kumikoさん、おひさしぶり! 暑い夏がやってきましたね。
2July.2003
Kumiko
これからのオランダは特にいい季節ですよね。
蒸し暑さに弱い私は、これからが大変!
簡単にオランダに逃げられればいいのですが、そうも行きません。
暑さとの戦いが始まります。
原子力問題もあり、節電にも努力しなくてはならないし・・・
こちらのテレビでも日本の電力不足のことを伝えていました。大変ですね。他に何か変わったことは?
Kumiko この間たまたまテレビを付けていたら、世界文化遺産などへの落書きがテーマの番組をやっていました。
ヨーロッパを始め、オーストラリアやインドネシア・エジプトのピラミッドの上にまで堂々と恥ずかしげも無く、名前や言葉を刻んでいる。
世界中の名所と言われるところ、足を踏み入れられるところには必ず日本語の字が他の国のどこの文字より多く刻まれているのです。
ある島ではもっと罰を厳しくすべきだとか、島の住人たちは皆怒っていました。
モラル以前の問題だと、良識ある大人たちは頭を抱え込んでいます。
善悪の判断がつかなくなっている若者が多くなっていると感じるのは、このことだけに限りません。
ご存知かもしれませんが、早稲田大学で起きた”集団レープ”もそうです。
挙げたらきりの無いくらい首を傾げることがいっぱい!
これは日本に限ったことではない現象なのでしょうか。
いやな話ですね。社会全体の教育力とでも呼べる力が落ちているのでしょうか?
Kumiko 仕事で10日間あまり日本に帰っていた娘が、面白いことを言っていました。
世界でエべレスト最年長記録を作ったと、日本でもてはやされていた登山家?の”三浦雄一郎”のことを。
日本ではどの新聞にもどのテレビ番組でも、素晴らしいと取り上げていたことが、フランスの新聞では困ったこととして取り上げていたようです。
三浦雄一郎は金持ちだからこんなことが出来るのだとも。
彼がエベレストに登ったために二十数人のシェルパ達が一緒に同行し、そのために沢山の荷物が必要となり、そのために沢山のゴミも出たと言うわけだ。
日本の登山家にはお金の力で周囲の協力を得ながら自分の夢を実現させた人もれば、山のゴミを清掃して歩く若い登山家もいるのだが。
同じ人間も、国によってこんなに捉え方が違うのも面白いと思いました。
こう言った事って、きっと私の知らないところで沢山起きているのでしょう!   
どっちがいいとか悪いとかの問題でもないような気がします。フランス人の中にも、三浦裕一郎の快挙に匹敵するような冒険や業績を残した人がきっと居るでしょう、周囲を巻き込んで、ゴミも出して。一つの物事には見方を変えることで意味合いも違ってくるんですね。Kumikoさん、ありがとう。