Kumiko’s EYE ‐4‐ 

Kumikoさんは6年半のオランダ暮らしの後、ご主人の転勤で日本に戻りました。
元の古巣に帰ったとはいえ、すっかりオランダ暮らしが板についてしまったKumikoさんの目に、日本はどんな国に写ったのでしょう

☆★☆ 捨てたものではない! ☆★☆

30 Oct 2002 kumikoさん、ご自宅改造の間の仮住まいって不便ではありませんか?
Kumiko 連日秋晴れの気持ちの良い日が続いています。
ここ足立区綾瀬に来て三週間たちましたが、少しも退屈しません。
自転車人口が多く、駅の周辺だけでなくあちらこちらに大きな自転車駐車場があることや、至る所に小さな川が流れ、そこには様々な草木や花が植えられていて、散歩コースとしてなかなかのもの。
また町の地図にも記されている沢山の公園。
町の歴史が綿密に保存されている”郷土史料館があり、その土地で発掘された土器や室町時代や平安時代の仏像、江戸初期の千住辺りの50分の1正確な模型があったり、そのころの利根川や荒川はみな隅田川に流れていたことなど今に至るまでの歴史が語られていた。
千住が参勤交代の時の一番最初の宿場町だったことも、歴史に殆ど関心のなかった私はここで初めて知ったのです。
駅からちょっと外れると、昔からの古い町並みが何とも言えず、心が和む思いがします。
子供達の遊べる公園もとっても多いだけでなく、ナイターの出来る野球場が近くに二つもあり、8レーン?もある大きなガラス張りのプールやスポーツクラブも沢山あるようで、なかなか充実した町。
老人のためのマンションもどんどん建っているし、養護学校のバスも頻繁に通っていて、何だかオランダと重なる部分が多く尚更親しみを感じているのかもしれません。
10階建てのマンションのエレベーターの中では、大人は勿論のこと難しい年頃の学生達もちゃんと挨拶するのには吃驚してしまいました。(本来なら当たり前のことなのかもしれませんが)
朝主人が散歩に出かけると、道行く人達が皆”おはよう!”と声を掛け合うといっていました。
新聞を見てもテレビを付けてもあまり良いニュースのないこの頃。
こういう世界! こういう子供達がいる!
何だかホッとしませんか?
”まだまだ日本も捨てたものではない!”顔がほころんで来ます。
綾瀬っていう町はなかなか住み心地よさそうですね。なぜ綾瀬にはそうした快適さがあるのでしょう?
9 Nov 2002
Kumiko
綾瀬の住み心地の良さ!・・・それは生活のにおいがする所であり、皆自然体でいられると言うことかしら?
結婚以来32年生活していた都心とは違って!・・・
そこは家を一歩出ればまったく生活感のない環境!
地元の人でなく遠くからここの地を意識し、楽しみにやってくる人達が多い町。
自他共に格好を意識し、刺激を求め、目的を持ってやって来る。
そんな中ではホッとする場所を見つけにくい。
ここ綾瀬という場所は、私が探していたホッと出来る所だったのかもしれない。
人に言わせれば ”ないものねだり!”だと言われるかもしれないが・・・

このところ毎朝、目がさめると素晴らしい青空!
家にいるのが勿体無いような気がして、ついつい出かけてしまう。
この癖はオランダ時代に身についたもの。
振り返ればオランダの今ごろは、寒くて薄暗く、晴れ晴れするような日は少なかったような気がする。
たまに青空が覗くとそれはそれは嬉しかった!用事がなくても必ず外に出たものだ。
今、久しぶりに日本の四季を味わっている。
酷暑を懐かしく思えるように日に日に秋は深まって、今もっとも安定した美しい季節に突入。
そしてここに紅葉が加わるのだから贅沢なもの。
しかし何処へ行っても人が多いのが玉に傷だが・・・
という訳で、じっとしている時間が少なくなってしまったことは確かです。

今サンデー毎日の夫との生活も七ヶ月が過ぎ、勤めていた時に出来なかった自由な生活も、与えられすぎれば喜びも薄れてしまう。
公私共に忙しくしていた時が懐かしく思える。
人間とは贅沢な我が侭なものだ。
生活環境、生き方、あらゆるものにほどほどの理想を求める人が多い。
私もその中の一人だということのようです。