Kumiko’s EYE ‐2‐ 

Kumikoさんは6年半のオランダ暮らしの後、ご主人の転勤で日本に戻りました。
元の古巣に帰ったとはいえ、すっかりオランダ暮らしが板についてしまったKumikoさんの目に、日本はどんな国に写ったのでしょう。

12 Aug 2002 暦の上では「残暑」、とはいえ今年の夏は格別の暑さのようですが、いかがお過ごしですか。
Kumiko こちらは相変わらず猛暑続きで30℃を下る日が殆どなく、じっとしていても汗の流れ落ちる生活に漸くなれてはまいりましたが、疲れはだいぶたまっているようです。
こういう気候の中では思考力や根気は減退し、呆けに追い打ちをかけているようです。
年々暑くなる地球の温暖化。
これは結構深刻な問題だとこんな私でも考え、肌で感じるようになりました。
地球上で、すでに実際この現象に直面している国があります。
そしてこのままでは、これからもっともっと沢山の国、沢山の人達が被害をこうむる様になるのは時間の問題のようです。
今新聞やテレビで取り上げられている南太平洋に浮かぶ小国”ツバル”の人達が生き残りに懸命だと載っていました。
低地には既に海水もたまり始め、農作物も育たなくなっているという。
自分の所に被害が及んで、始めてことの重大さに築いたのでは遅いのに・・・
他人事のように今は贅沢し放題、自分の快適さのみ考えているような人達がとても目につく。
ホテルでもデパートでもレストランでも、サービス業の所は冷房がきき過ぎて寒いくらいの所が多い。
現在では普通のお宅でも、暑ければ冷房を入れて快適に過ごしている。
夜の散歩では、住宅地の周りはあちらこちらから熱風を放していた。
建物のない所では、結構自然の風が心地よかった。
この間テレビで、静岡だったか何処だったか忘れたが、もっとも暑いといわれている地域で、冷房が嫌いという老夫婦のお宅の冷房なしで暑さを凌いでいる様子を映していたが、工夫次第で凌ぎやすくもなるのだ。
 ”暑ければ冷房!”
余りにも単純な行動で、脳がなさすぎる。
文明が発達すればするほど、一部の人間以外多くの人達は頭も使わず工夫もなくなって来る。
ここでいつも思うのは、便利になりすぎるというこの恐ろしさ!
人間そのものを駄目にし、環境をも壊してしまうのではないかと。
自然に逆らわず、もっと自然のありがたさを認識し、自然を大切にしていけたらとあらためて思うこの頃。
21 Aug 2002
Kumiko
相変わらず30度を越す日が続いておりますが、この間の台風が秋の気配を運んできてくれたようです。
朝晩が大分凌ぎやすくなりました。湿度が低くなり、爽やかな風が暑さをさほど感じさせないのかもしれません。
確かに久しぶりの猛暑で、心身ともについて行けなかった私ですが、もうすぐ秋が・・・と思うとこれまたいい思い出となるのでしょうね。
やっぱり日本のようなはっきりとした四季があることで、その時々の楽しみや美しさがあり、有り難さが分かるのだと思います。

主人とたまに、夕食後ウォーキングをしています。
太り過ぎを少しでも解消したいためには食後が良いと聞いたので・・・
それより何より日差しがなくなってからでないと、とても外を歩く気にはなれないからと言った所が本音ですが。
今夜もやはり熱帯夜。
住宅地もビル街も、室外機の熱風が逃げ場を失ったかのように悶々としている。
外苑の並木道、青山墓地の中、陸橋の上など出きるだけ建物のない所や少ない所を選びながらのウォーキングにしている。
同じ時間で立つ場所により、こんなにも温度差があるとは思ってもみなかった。
別世界に居るかの如く、体間温度の差はそうとうのものであった。
特にレストラン街の裏道などはとても居たたまれない。
同じ東京でも場所によってずいぶん違うと言うことです。
我が家の周りは特別のようかもしれません。
帰国後すぐの体験がこの暑さ!きっといい思い出としていつまでも心に残ることでしょう。

30 Aug 2002 その後、いかがですか。落ち着きましたか?
Kumiko 日本へ帰ってすでに四ヶ月が過ぎようとしていますが、まだ静かだと思えた日は一日もありません。
オランダでの生活がやはり懐かしいです。あの頃と全て生活環境がまるっきり違ってしまったのですから。
残暑厳しい中で、物事をじっくり考えるという事すら出来なくなっています。
そんな時、オランダからのメッセージで、そちらの皆さんの疑問や考えを読ませていただくことで”はっ!”と我に返るのです。
良い刺激剤となり、いつも楽しみにしています。

「外務省はいらない」もオランダで生活している時に、真っ先に飛びついて買った本でした。
税金の無駄遣いに関心があったので、この人達にこれだけ使われるほど必要性があるものなのか・・・と疑問に思っていただけに、非常に興味深く腹を立たせてもらったものでした。
道路公団民営化に関しても、これから先の世の中をあまりにも考えなさすぎる。
どの地方の言い分も、皆目先の便利さだけにとらわれて結局は自己中心の要求に過ぎないだけのこと。その為にそれだけの投資が必要とは・・・もっと使うべきところが沢山あると思うのだが皆自分の欲にとらわれすぎている。

冷静に世の中を見渡せる人の数より、利己主義人間の数の方が遥かに上回っている現状だから、国会討論を聞いていてもまともな話し合いになっていない。
これも時間や税金の無駄使いに通ずると思う。
人生無駄があっていいし無駄も必要な時があるが、他人のものに対する無駄使いは、極力少なくするよう心掛けるべきではないか。
年金生活となって、尚更感じるようになった今の私! 
結局、そこなんだと思います。
日本の人と話していて、自分の行動半径、思考半径内のことしか頭にいれなければ結構悩まずに生きていけるけれど、そこから踏み出してみることのできる想像力や高みから眺められる視点を持っている人にとっては、生きづらいのが日本なのでしょうね。私は友人二人とスイスへ小旅行の予定です。戻ってきたらまたご連絡しましょう。
20 Oct 2002
Kumiko
スイス旅行如何でしたか?
女性三人での旅行!楽しそう〜!
私も何年か前の寒い頃、バーゼルのカーニバルを見に行った事があったので、とても懐かしく思いました。
真夜中の特別列車でバーゼルへ、明け方のカーニバルを見た後朝一番の列車でホテルに戻り、主人はそのままドイツの会社へ出勤したのでした。
オランダでの生活、沢山のヨーロッパ旅行、どれもこれも遥か昔の楽しかった思い出のように思えます。
帰国後の生活や環境が、如何に目まぐるしく慌しくテンポの速かったことか。
こういう中にいるとやはり物事をじっくり考える!とかゆたっりとした気持ちで味わう!といった感覚は失われ、心のないその場凌ぎの行動が今の一般的社会を作り上げているような気がする。

今仮住まいで A市に住みだしましたが何と便利なこと。
お店は豊富で24時間営業しているお店や夜の10時・11時まで開けてるお店も沢山あり、思いつきでの買いものも可能となり、何とかなってしまうという。
便利もほどほどにと言うのが私の考え。
便利が全ていいとは限らない。
便利によって人間本来持っているいい部分を失っていることも多々ある。
便利なおもいして文句言ったら罰があたるかもしれないけどね!!!

北朝鮮の拉致問題は奥が深く、簡単にどうこう言えないものがあり、これからも注意して見ていくつもり。
日本の報道の行きすぎが目について仕方がない。
相手の立場をまるで考えず、相手を思いやる余裕などなく、興味本位に聞き出し公表するという芸能ニュー
ス感覚でして欲しくはない。
そんな思いでみている私です。
便利至上主義というのは私も決していいとは思いません。ヨーロッパはそれがわかっていた。
また、報道に関していえば、テレビが普及したことイコール世界中のさまざまなレベルの問題がお茶の間レベルで語られてしまう、ということなんでしょう。お茶の間イコール井戸端会議みたいなもんだから。
26 Oct 2002
Kumiko
自宅改築の為、今足立区の綾瀬という所に住んでいます。
結婚以来32年でオランダ赴任6.5年を除いて初めての引越し。
ここは今までの所と違い、気分はオランダの時のような気楽さ。
家並は小さな家々・大きなマンションも様々な形をしていて何の統一性もないが、川や運河など水の多い町。
大きな広い公園があちらこちらにあり、緑と水の憩いの場所には大変恵まれている。
オランダと一番違うのは、一時間散歩していると公園の中にトイレが六ヶ所も現れる。
どれも綺麗で変化のある形。
これだけはトイレの近い日本人には最高だ!
まあどこに住んでもそれなりのいい所はあるもんだ! といつも感心する私であります。