新学習指導要領を考える

日経新聞「教育を問う」シリーズ を読んで

文部省が2002年度から実施する新学習指導要領。授業についていけない子を減らすことを掲げて、週5日制のもと、学習内容を3割削減し、小中学校ともに授業を年間70時間減らす。小学校では小数点第2位以下の乗除計算が消え、中学校の必修英単語は507から100に減る(日経新聞10/30)

最近、さまざまな角度から報道される新学習指導要領の特徴の中でも一番話題に上るのがこの点だろう。多くの人がこれに伴う学力の低下を懸念する。私自身は、文部省のねらいが狙いどおり成果を発揮すれば、目指す「ゆとりの教育」も実現し、一人一人自ら学ぶ本物の学力が付くようになるかも知れないとは思う。だが、何故か、「ゆとり」という言葉が「ぼんやり」と同義語のようにむなしく響く。「頭の中がぼんやりとして、判断力の乏しい、学ぶ意欲の低い」子供達が育っていくような気がしてならない。

いいことずくめ、もっともな言葉が並ぶ学習指導要領・総則を読んでいても、その思いは消え去らない。

1 各学校においては,法令及びこの章以下に示すところに従い,児童の人間として調和のとれた育成を目指し,地域や学校の実態及び児童の心身の発達段階や特性を十分考慮して,適切な教育課程を編成するものとする。
 学校の教育活動を進めるに当たっては,各学校において,児童に生きる力をはぐくむことを目指し,創意工夫を生かし特色ある教育活動を展開する中で,自ら学び自ら考える力の育成を図るとともに,基礎的・基本的な内容の確実な定着を図り,個性を生かす教育の充実に努めなければならない。

こんな感じで、子供の全人的教育を促すように総則は書かれているが、言ってみれば全て当たり前のこと、今更事新しく言い立てるほどのこともない。本当に「個性を生かす教育の充実」を目指すなら、こういった「指導要領」で先生達をがんじがらめにすべきではないと思う。先生達の自由な発想があってこそ、先生と子供達の相互作用が働いて、子供達は伸びていくのだと思う。文部省の皆さんには、決めたことを先生達が履行すれば目的が達成されるとお考えになっているような気がするのだが。(Jan. 22, 2001)



表紙のページへ
 総合目次へ